四角い魔術師
短篇の魔術師・井上雅彦ベスト集成!
恐ろしくも美しい物語を紡ぐ井上雅彦の作品群から厳選。
構成の絶妙さに感嘆し、徐々に話の怖さがわかってしまう処女作「よけいなものが」、
生まれ育った島に恋人と旅行に来た主人公が遭遇した島の慣習の真実とは…?「潮招く祭」など妖しく恐ろしい26篇を収録。
20年続く出版芸術社の<ふしぎ文学館>シリーズ、記念すべき第50作目!
◆推薦文――植草昌実(ホラー季刊誌《ナイトランド》編集長)
井上雅彦はホラーのすべてを知っている。
「恐怖」という言葉にひそむ、驚きを、哀しみを、懐かしさを、人恋しさを。
冒険の痛快さや謎解きの爽快さを。
それでも解けない謎、逃れがたい窮地の湛える、たとえようのない蠱惑を。
それらが入り乱れる万華鏡のような色彩の悪夢を、彼は魔術師の骨牌(とらんぷ)のように指先に広げる。
「物語」という愉しい悪夢を。
ここには井上雅彦の「物語」の精枠がある。それはすなわち、ホラーの精枠である。
第一部 ショートショート Ⅰ
よけいなものが
残されていた文字
ロマンチスト
風が好き
極光(オーロラ)
四時間四十四分
カフェ・ド・メトロ
四角い魔術師
第二部 短篇小説 怪奇&怪物
十月の動物園
脱ぎ捨てる場所
潮招く祭
魔女の巣箱
碧い花屋敷
第三部 ショートショート Ⅱ
消防車が遅れて
たたり
悪夢街の男
ゴーレム・ファーザー
夜を奪うもの
パラソル
象のいる夜会
第四部 短篇小説 妖綺&幻想
十月の映画館
オアンネス ――或いは「水槽譚」――
菓子宵
沈鐘
舞踏会、西へ
宵の外套
あとがき
著書リスト